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皇帝の血 6
ヴァルラム帝には、現在四人の皇妃がいる。
建国より政治の中心にあった古き貴族に連なる第一皇妃リュヴィア。
彼女は双子の皇子を産み落としたが、第一皇子のサムイールは出奔し、第二皇子セディアは病弱で帝都を離れ、静養地にいる。
同盟国の姫であった、第二皇妃ミラ。
彼女は現在のところ、皇位継承権第一位にあると思われる第三皇子ファーティマを産み、次期皇帝の母と称し、幅を利かせている。
ニールの母であり、カウニサーリの王妃だった、第三皇妃アマリエ。
彼女には二人の息子がおり、今は亡きカウニサーリの王との間に一子、ヴァルラム帝との間に一子をもうけた。
そして、第四皇妃フィアナ。
次代皇帝を望まれる御年になった皇帝が十年前に、後宮に引き入れた女性は、皇族で唯一の女児を産み落とした。
七歳で皇位継承権を放棄して王都を出たニールは、フィアナやエリシアとの直接の面識はなく、新しい皇妃の誕生と第一皇女の誕生を新聞で知り、好色な爺だと顔をしかめただけだった。
まさか、今になって顔を合わせるとは思ってもみなかった。一介の軍人に、皇族は雲の上の存在だった。
「なんか、妙な気分になるな。一応、身内なんだろうけど」
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