占い少女

3/14
1人が本棚に入れています
本棚に追加
/14ページ
僕のクラスには自称占い師がいる。 高校二年生、星野美嘉。 僕の隣に座っている女の子だ。 ボブカットの黒髪と、中学生の頃から変わらないと言われている低身長が特徴である。 この子、一見何の変哲もない容姿をしているので、初対面の人は騙されてしまいがちだが、騙されてはいけない。 彼女の中身を見てほしい。彼女の性格はどこまでも変哲で、容易に真似できない個性をもっているのだ。 「……えっと、終わった?」 「ええ、終わったわ」 そそくさと水晶玉を机の中に入れて、星野さんはにこりと微笑む。 星野さんはいつも、ポケットに水晶玉を入れて持ち歩いており、事あるごとに占いを始めたがるのだ。 今も、登校してすぐなのだが、早速僕を占ってきたところである。 「毎回毎回、いつも占ってご苦労様だね。何でそんなに占いをしたがるの?」 「……夢を叶えるためよ。占いをすることで、私の夢もいつか叶う気がするの」 「あー、将来の夢は確か占い師だっけ。星野さんって。今時珍しいよね」 「まぁ、そうね。夢を叶えるためにも、もっと頑張らなくちゃ」 夢を追うのは結構だが、あまり人を巻き込まないでもらいたいものだ。
/14ページ

最初のコメントを投稿しよう!