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気怠い英語の授業が始まろうとしている。
英語の授業は基本的にグループワーク。授業が始まる前までに、二人組のペアを作って席についておかなくてはならない。
いつもは友達の平川と一緒に座っていたのだけど、今日は風邪でいないので、誰とペアを組もうか悩んでいたときだった。
「……見えたわよ。誠くん」
──また、星野さんが水晶玉を片手に現れた。
「グループワーク。つまり他者との交流。それなら、山羊座と相性がいい乙女座の私と一緒にいるべきね。必ず良い事があるわ」
小さな身長で、精一杯威張ってみせる星野さん。
「いや、いいよ。星野さんも好きな人とペアを組んだ方が良いだろうし」
「……そう」
星野さんの自信満々な表情が、また少し曇ったような気がしたが、すぐに元に戻っていった。
「今日は、そうね。英語の宿題があったはずよ。いつもより難しかったわ。誠くんはしっかりできたかしら。ペアになってくれたら、見せてあげてもいいけれど?」
ノートを取り出して微笑む星野さん。
確かに、今日の宿題はいつもより難しかった。正直合っているか自信がない。星野さんは成績優秀なので、きっと宿題もきちんとできているはずだ。
ここは、ペアになった方がいいだろう。
「そうだね、じゃあ間違うのも怖いし、今日は星野さんと一緒にペアに……」
「誠くーん!! 助けて! 宿題全然わからないよー!!」
だが、そのとき背後から友人にしがみつかれて、言葉は途切れてしまった。
「……どうしたの、橋本さん」
「このままじゃあの嫌味ばばぁに怒られちゃう! 早く私と組んで! そして宿題を……!」
「はぁ、わかったよ……あ、星野さん、ごめん。ペアはまた今度にして」
勢いに負けた僕は、橋本さんと組むことになり、星野さんはまた静かに「……そう」と呟いた。
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