舞踏会編

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***  その頃、城外市街地の豪邸が(つら)なる界隈(かいわい)の裏路地に、一人の少女が立っておりました。  その薄汚れたみすぼらしい姿の少女は、名をシンデレラと申します。  シンデレラは、元々は由緒(ゆいしょ)正しき血筋の学者を父に持ち、聡明(そうめい)なるお嬢様として生まれ育っていたのでありますが、実の母親の死後、父親が二人の娘を持つ後妻(ごさい)を迎えましてから、彼女の人生の歯車(はぐるま)は狂いはじめたのであります。  父親が城へ出向いて後、行方不明になりますと、継母(ままはは)はシンデレラを下女(げじょ)のように扱いはじめます。それに反発(はんぱつ)したシンデレラは、今では町の不良たちと親しくするようになっていたのです。  手持ちぶささに伸びをするシンデレラの前へ、やがてバイクに乗った青年が現れました。
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