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シンデレラ編
翌朝、王子は朝食もそこそこに頬杖をつき不貞腐れていました。
そこへお城の警備主任である、アル・ベロベッロが声を掛けます。アルは王子の幼馴染なのです。
「昨晩のことをまだ気に掛けてらっしゃるのですか? 妃を迎えられれば顔を蹴られるなど日常茶飯事ですよ」
「なんだ、アルの細君も蹴るのか?」
アルの告白に信じられないという表情で王子は顔をあげます。
「えぇ、そんな時は足裏を舐め返してやればいいんですよ」
新婚のアルは恥ずかしいのか嬉しいのか声がうわずっています。
「ご馳走様。あんなじゃじゃ馬などどうでもいいのだが、あの娘が言ったことが気になるんだ。それにあれは私が出した招待状だ。それをなぜあの娘が持っている?」
王子が呟いた言葉に、アルは王子の耳元にだけ聞こえるように囁きます。
「それでは、わたくしが調査してもよろしいのですね?」
「勿論! 信頼できるのは君だけだよ。昨日は色んな事が有り過ぎた。まだ夢を見ているみたいだ、今日の執務は休む」
そう言い残し王子は自室へと向かいました。
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