プロローグ

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❇︎❇︎❇︎❇︎ ……嫌な夢を見た。 起きたら寝汗でパジャマにしているロングTシャツが湿っていた。 神谷菫(カミヤ スミレ)は右手で後頭部の辺りを、ワシャワシャとかいた。 小学生の自分と桜(サクラ)がいた。桜は菫にとって双子の姉にあたる。 姉と言っても幼い頃から、菫の方が口が達者で、桜の方が控え目だったから、菫は姉らしい感じはしていなかった。 菫と桜は似ている双子ではなかった。 クリクリの子犬のような瞳をし、主張しない小さめの鼻。少し厚めのぷるっとした唇と、色白の肌。 それが桜だった。 一方の菫は、奥二重のスッとした瞳に、整った鼻筋、唇は桜に比べると、薄く赤みも淡い。唯一似ているのは、肌の白さぐらいだった。 桜が可愛く人当り良さそうな雰囲気を醸し出しているのであれば、菫は遠目に見ればキレイだが、声はかけづらい。そんな雰囲気だった。
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