スポーツドリンクと深夜の長電話

14/25
前へ
/748ページ
次へ
準決勝でも自己新に近いタイムを出したが、決勝には残れなくて、それは次の課題になったが、菫にとっては純粋に楽しめたレースだった。 リレーなどは3年生と2年生が出るので、菫は今日は他に出番がなかったので、着替えるため控え室に向かった。 今もユニフォームの上にチームで揃えたTシャツとジャージのズボンは履いていたが、汗もかいているので、ユニフォームを脱ぎたかった。 菫が控え室へ続く細く長い通路を歩き、すれ違う他所の学校のチームに軽く挨拶をしていたら、 「委員長、お疲れ様。」 と、聞き覚えのある声がした。 えっ?いや?えっ? 菫は立ち止まり、そんなまさかと思いきょろきょろと見渡すと、人混みの中、壁にもたれて立つ伊勢谷がそこにいた。 えっ? 何回か瞬きをした。 でも伊勢谷は幻のように消えたりしなかった。 「速かったね。決勝いけるかと思ったのに。」 「えっ?いや、ちょっと待ってください。」 完全に休日の格好と思われる伊勢谷先生。 ジーパンに赤いスニーカーにグレーのTシャツ。しかも鼈甲色の丸いフレームの眼鏡をかけている。 「な、何してるんですか!?」 思ったより大きな声が出て、菫は慌てて両手で口を押さえた。 休みだよね?休みにわざわざ副顧問でもないのに、何で大会にきてるの?
/748ページ

最初のコメントを投稿しよう!

616人が本棚に入れています
本棚に追加