スポーツドリンクと深夜の長電話

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「そうだ、委員長、これあげる。」 こつっと軽く頭に500ミリのペットボトルの底があたる。 「ベタな物しか思いつかなくてごめんね。」 手渡されたのはスポーツドリンクだ。成海に続き本日2本目のスポーツドリンク。 「今度、ご飯行くときはちゃんとしたものを奢るから。」 その言葉に、菫は借りてきた猫みたいに大人しく頷くことしかできない。 ご飯に連れて行ってくれるんだね。 「先生、今夜電話してもいい?」 菫が尋ねると、伊勢谷の手が菫の頭をいい子いい子するようになでた。 うっ……先生、何だか今日はいつもと違う……。 伊勢谷の手がゆっくりと頬の横の髪をすいて、人差し指と中指が菫の耳に触れる。 なんかすごく手慣れている感じ。 ごく自然にそんなことされたら…… これ以上先生に触れられたら…… 苦しい…息の仕方も忘れてしまう…… 「電話、待ってるわ。」 ふっと笑みをこぼすその顔は、自分とは比較しようもない程、大人の顔をしている。 「俺、そろそろ行かないと。今日、ここに来たことはみんなには内緒にしてくれる?」 「う、うん!する!」 「担任がひとつの部活だけ応援に来たりするのは、あまりよろしくなくてね。」 伊勢谷は苦笑すると、そのまますれ違うたくさんの他校の人達の中に姿をくらました。
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