スポーツドリンクと深夜の長電話

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桜は10時半を過ぎても帰ってこなくて、伊勢谷に電話をするために自室に引き上げようと思っていた菫だったが、「何かあったのか?」と不安気な両親を放っておくこともできなかった。 9時半に桜から[帰りは遅くなる]とメッセージが入っていたので、菫はそのことも伝えたのだが、あまり効果はなくてただただオロオロするばかりだった。 「私、ちょっと見てくる。」 菫がサンダルを引っ掛けて、玄関のドアを開けたら、ぼんやりとした街灯に照らされて、門の前に立つ桜と真尋がいた。 「えっ?あ、いや、こんばんは。」 何を呑気に挨拶してるんだと、脳内で菫は自分自身にツッコミを入れて、予想外の二人組にどう反応していいのか戸惑った。 「委員長、家の人いる?」 「あ、家の人いる!いる!」 いつも通りの真尋。 それに対し、菫は慌てて家の中に戻ろうとしたせいで、サンダルが引っかかって躓きかけたが、何とか踏ん張って、とりあえず母親を呼んだ。 父さんに見つからないように、こっそり外に来てと。 さすがに父親には会わせられないだろう。 桜が男に連れられて帰って来たなんて言ったら、泣き出すかもしれない。
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