スポーツドリンクと深夜の長電話

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母親が外に飛び出して来て、一瞬だが硬直したのは言うまでもない。 控えめな可愛い娘が、背の高い派手めの男に送られてきたのだから。 「桜さんを連れ回してすみませんでした。心配だったので、送らせてもらいました。」 見た目とは反して、丁寧に真面目に謝り事情を話す真尋に母親は文句を言わず、 「こちらこそ送っていただきありがとうございます。」 と誠意ある対応をした。 「お母さん!違うの!安藤くんは早めに帰ろって言ってくれたんだけど、私が帰りたくないって言ったから。」 桜が真尋をかばうように母親に事実を話す姿を、菫は傍観していた。 桜と安藤くん。 あのライブの時も、桜はすごく興味を持っていたっけ。安藤くんが写るチラシをもらっていたぐらいだ。 「それより、えーと……安藤くんでしたっけ?電車とかあります?車で家まで送っていきますよ。」 母親の提案に真尋は静かに首を振った。 「大丈夫です。終電には間に合うので。」 「安藤くん、今日はありがとう……」 「ゆっくり休めよ。委員長も迷惑かけてごめんね。」 真尋は最後まで紳士的で母親にもう一度一礼すると、闇に溶け込むように立ち去った。
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