620人が本棚に入れています
本棚に追加
「ごめんね。しんみりさせちゃった。」
成海はいつもの人を魅了する笑顔に戻ると、桜の食べるベーグルサンドを指差した。
「それ、美味しそう。一口ちょうだい。」
「いいよ。」
桜がベーグルサンドを指で一口分をちぎろうとしたら、成海の手が桜の手首をつかんだ。
「宮田くん?」
「あーんしてじゃないの?」
何か今日、いつもと違う……。
成海に触れられた腕から血が脈打って、桜の体中を熱くさせた。
自分を見つめる成海の横顔は洗練されていて、見られているってだけで、心臓がもぞもぞとする。
「神谷、早く。」
ほら……何かが違う。どことなく不機嫌?不安定?
それでも、彼に少しでも触れられるなら……
「……あーんして。」
桜が成海の口元にベーグルサンドを持って行くと、成海は口を開けてかぷりと噛み付いた。
最初のコメントを投稿しよう!