ブラウニーと新しい自分

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「桜!」 校門にたたずむ人影に、桜の足は一瞬にして石のように固まった。 「久しぶり。元気?」 桜が固まっても、相手はお構いなしに校門をくぐって、隣に成海がいるのも物ともせず、桜に手を振ってくる。 そう、直輝はそう言う男だ。 「直輝……どうしてここに?」 「桜、俺に話したいことがあるって言っていたから、早く聞きたくなって会いに来ちゃった。」 昨夜、桜は直輝に異様なまでに明日の予定を聞かれていた。 桜は嘘をついて、昼頃まで部活の関係で学校にいると言ったのだが、まさか学校に迎えに来るなんて。 「行こう。近くのカフェでいいだろ?パフェぐらい奢るよ。」 成海のことは視界に入れないようにしているのか、直輝は桜の手を取って歩き出す。 自分が予定していたタイミングより、随分と早まってしまったが、今日直輝に伝えよう。 神様がくれたチャンスなのかもしれない。 「神谷……また来週。」 察しのいい成海には、今の様子が明らかにおかしいって気付いたかもしれない。 でも、無関係の成海を巻き込ませるわけにはいかない。 震えるな自分の声……桜は呪文のように、何度も自分に言い聞かせて、 「宮田くん、またね。」 と答えて笑顔で挨拶してみせた。
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