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このままじゃダメ。
自分の居場所が欲しい。
そう菫が思うようになったのは、中学に入学してすぐだった。
大きな中学校だったので、知らない小学校からもたくさんの子が入学してきていた。
自分の友達が欲しい。
菫は小学校6年間で、自分がけっこう何でも出来ることに気付いていた。
走れば学年上位。絵や工作も人並みにはできる。勉強も真面目に取り組めば、成績を残せた。それに、人に物怖じすることもない。
桜に対する接し方を周りにもすれば、私は変われるのではないか?
変わりたい!!
その強い思いで、菫はクラスの学級委員長になり、クラスの困っている人を助け、ときにはクラスで冗談を言って、周りを笑わせた。陸上部にも入りそれなりの成績も積み上げた。
そんな菫に自然と人は集まり、自分の友達ができた。
それが菫には生きてきた中で一番嬉しい出来事だったが、その頃にはすでに桜には彼氏という存在ができていた。
中学に入り、可愛さにプラスして女らしさも身につけた桜は、入学して半年でひとつ上の先輩と付き合っていた。
桜は恋愛の悩みを事あるごとに菫に相談してきた。
彼氏どころか好きな人すらできたことのない菫には、色恋沙汰などよく分からなかったが、桜の悩みに親身になって答えていた。
例え友達ができても、桜が頼ってくれることが安心感につながることに変わりはなかった。
桜も菫に友達ができようとも、自分を一番見てくれているのは菫だと信じていた。
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