フォンダンショコラとお返しに欲しいもの

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伊勢谷と約束したこともあって、桜は体験講習を終えて、週に2回塾に通うことにした。 8階建の商業ビルの上4階を貸し切って経営をしており、あちこちに同じ系列の塾がある大手の塾だった。 クラスも上から10段階に分かれており、毎日、授業が行われていた。 最初は入塾テストの結果でクラスに入れられるものだから、桜は亜貴と同じクラスになることはなかった。 桜は上から6番目のクラスに所属していた。亜貴はさすがと思わせる上から2番目のクラスにいた。 それでも、自習室で一緒に勉強をすることもあったし、授業と授業の合間にはファミレスとかに軽く食べに行くこともあった。 今日も二人とも同じ時間に空きコマがあったので、外に食べに行こうという話になった。 「礼央が下で待ってるって。」 桜が教室から出ると、入口のところで亜貴が待ってくれていた。 亜貴の学校の制服である濃紺の学ランに、寒さを防ぐために黒いウールのマフラーをしている。 「礼央が?」 「バイトが終わって、近くにいるから一緒にご飯を食べようって。」 桜も寒さ対策に制服の上から、グレーのピーコートを羽織った。 1月ももうすぐ終わろうとしていた。もうすぐ暦の上では立春を迎えようとしていてが、凍てつくような寒さに変わりはない。
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