フォンダンショコラとお返しに欲しいもの

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塾から歩いて5分程度のところにある、イタリアン系のファミレスに行くと、既に礼央が待っていて桜と亜貴に手を振ってきた。 「二人ともお疲れ様ー!」 バイト終わりだという礼央は、白いパーカーにジーパンというラフな服装で、自分の隣の座席には本人が愛用しているベースが置かれていた。 「桜、会いたかったよ。」 礼央の前に桜が腰を下ろすと、満面の笑みでわしゃわしゃと桜の頭をなでた。 「ご飯を食べたら、スタジオに行くの?」 亜貴も桜の隣に腰を下ろし、礼央の横にあるベースに視線を送った。 「うん。真尋が引きこもって曲を作っているらしいから。もう大詰めだしね。翔太もバイトが終わったら来るって。」 「俺も終わったら行くわ。ちょっとアレンジしたいところがあるんだよねぇ。翔太が叩くところのさ……。」 亜貴がスマホを操作して、以前にレコーディングしたと思われる曲をかけた。 礼央も亜貴のスマホに耳を寄せて、「あー、ここね。翔太本人も納得してなかったもんね。」と頷いた。 そんな二人の中に割って入るのは失礼だと思い、桜はただ大人しく眺めていたけど、決して退屈ではなくて、いつまでも見ていたいそんな気持ちにさせられていた。
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