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3学期も調理部の活動は週に1回あって、桜は塾とバイトと両立させながら参加していた。
2月初めの活動は、もうすぐバレンタインデーだし、練習もかねて各々好きなチョコレート菓子を作ることだった。
バレンタインデーか……。
桜は何だかいつもよりテンションの上がらないままエプロンを付けた。
本命の好きな人とか彼氏とかがいないからかもしれない。
成海と猛には二人で一緒に食べられるものをあげようと思っていた。チョコチップクッキーとかトリュフとかを。
伊勢谷先生にもお礼がいるかな……
期末試験の85点以上がお礼だとは言われたけど、何もしないのもなぁと思う。
甘いものは苦手みたいだし、バイト先のコーヒーが無難だろうか。
あくまでお礼であり、先生のファンの子たちとは違いますと強調しとくためにも。
菫ちゃんはどうするのだろう……?
進路に関しては長い間悩んでいたけど、答えは出せたようだった。
先生と宮田くんに渡すかな……。今日、練習をしといて、バレンタインデーの前日に一緒に作れたら良いかも。
そこまで自分が菫ちゃんと宮田くんの関係を思えるようになったのも、最後までくろを探すことに付き合ってくれた安藤くんのおかげではあるだろう。
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