フォンダンショコラとお返しに欲しいもの

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「ありがとう。でもね、まずは松田くんに私のことを知って欲しいから、やっぱり来年にする。来年こそ頑張って親しくなって、渡そうと思うの。」 舞香の決意は固いようで、今年作るフォンダンショコラは、クラスの友達とお昼休みに分け合うとのことだった。 「桜ちゃんはあげなよ!私のクラスにも、安藤くんのことをカッコイイって言っている子がたくさんいるの。そういう他の子にとられてもいいの?」 舞香は自分のことは控え目な割に、桜には発破をかけてくる。桜はぼんやりと脳裏に真尋と別の女の子がいるのを思い描いてみた。 安藤くんが他の子をライブに誘って、 他の子の手を繋いで、 他の子をぎゅって抱きしめて…… それはやはりちょっと、いや、かなり嫌だ。 「決まりだね。」 舞香はうふふと笑うと、準備室へと調理器具を取りに行ってしまった。 何と言って渡そうかと考えても、桜の頭では今すぐ言葉がまとまるわけもない。 一番言うべきは「ありがとう」だけど、それ以上にもっと言いたいことがあるようにも思う。
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