フォンダンショコラとお返しに欲しいもの

19/28

599人が本棚に入れています
本棚に追加
/748ページ
「バレンタインデーをあげなよ。」と、舞香に念を押されたのだが、2月に入って5日程経った頃、突然に真尋が学校を休んだ。 普段、桜は真尋と頻繁に連絡を取り合うわけではなかった。 用事があったら連絡をするぐらいで、それ以外は特にやりとりをすることはない。 真尋が忙しいのではないかと言う遠慮が桜の中にもあった。 バンドの練習とバイト、それに一応は学校の課題もしなくてはならない。 学校では行き帰りに会うこともあり、話をしたりもしたが、いつもより疲弊している感じはあった。 そんな状況の真尋に、毎日連絡を取り合うことを桜は望むつもりはなかったし、自分にそんな権利があるとも思わなかった。 だから、真尋が学校を休んだ理由すら分からなかった。2月だし風邪やインフルエンザかとも思った。 菫にも桜はそれとなく聞いてみたが、詳しいことは知らないようだった。 「安藤くん、バレンタインデーに来るかな?」 「バレンタインデーまで後4日だよ。このまま休みそうじゃない!?」 「えー!私、チョコレートあげようと思ったのに。」 そんな会話を廊下で女の子とすれ違う時に、桜は耳にした。 舞香が言っていたように、真尋のことをカッコイイと言っている子は結構いるようだった。
/748ページ

最初のコメントを投稿しよう!

599人が本棚に入れています
本棚に追加