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「バレンタインデーをあげなよ。」と、舞香に念を押されたのだが、2月に入って5日程経った頃、突然に真尋が学校を休んだ。
普段、桜は真尋と頻繁に連絡を取り合うわけではなかった。
用事があったら連絡をするぐらいで、それ以外は特にやりとりをすることはない。
真尋が忙しいのではないかと言う遠慮が桜の中にもあった。
バンドの練習とバイト、それに一応は学校の課題もしなくてはならない。
学校では行き帰りに会うこともあり、話をしたりもしたが、いつもより疲弊している感じはあった。
そんな状況の真尋に、毎日連絡を取り合うことを桜は望むつもりはなかったし、自分にそんな権利があるとも思わなかった。
だから、真尋が学校を休んだ理由すら分からなかった。2月だし風邪やインフルエンザかとも思った。
菫にも桜はそれとなく聞いてみたが、詳しいことは知らないようだった。
「安藤くん、バレンタインデーに来るかな?」
「バレンタインデーまで後4日だよ。このまま休みそうじゃない!?」
「えー!私、チョコレートあげようと思ったのに。」
そんな会話を廊下で女の子とすれ違う時に、桜は耳にした。
舞香が言っていたように、真尋のことをカッコイイと言っている子は結構いるようだった。
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