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結局、バレンタインデー前日まで、真尋は学校に来なかった。
それでも明日こそと思い桜は晩ご飯の後に、家でフォンダンショコラを作ることにした。
舞香ちゃんともあげると約束したし、もしかしたら明日は来るかもしれない。
成海と猛に渡すチョコチップクッキーは、桜は夕方に作り上げてもうラッピングもしていた。
「本気で私にフォンダンショコラを作れると思っているの!?」
桜の隣で、菫は慣れない手つきで包丁で板チョコレートを刻んでいる。
「大丈夫。私が手取り足取り教えてあげるから。」
「いや、もういいよ。私、別にバレンタインデーなんてあげなくてもいいし。」
「菫ちゃん!あなた、どれだけ宮田くんに世話になってきたと思っているの!?」
桜が成海の名前を出すと、菫は一瞬だが戸惑った表情をする。
そりゃそうだと桜は思った。菫ちゃんは自分が宮田くんのことを好きだったことを忘れてはいない。
そして、自分と宮田くんが付き合うことはなかったことも。
でも、不思議と今は宮田くんのことに心が揺れることもない。
彼が友達として以前よりもっと話しやすい相手になっている事実があった。
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