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料理に関してはからきしな菫に、桜は諦めずに教え続け、自分と同じくらいのクオリティにまで仕上げさせた。
「ちなみに一つは砂糖の量を減らしたから、ちゃんと伊勢谷先生に渡しなよ。」
「えっ!?いつの間に!?」
「菫ちゃんが泡立て器で、ケーキの生地を混ぜているとき。それぐらいすぐ出来るから。あと、夕方に作ったチョコチップクッキーは余分があるから、それは部活とクラスの子たちに渡していいよ。」
「桜……あんた、いつの間にそんなにしっかり者になったの?」
「えっ?前からこんな感じじゃん。」
菫はいやいやと首を振り、ふらふらとした足取りで、ソファーに倒れるように座り込んだ。
「お母さんも最近、安心してしてるよ。桜が勉強を頑張るようになって嬉しいって。」
「それは……」
やりたいことが見つかったから。だから、今できることをまずしなければと思ったのだ。
そして、それを教えてくれた人がいる。
いつも自分の話を聞いてくれた人。
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