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桜は真尋の掌に、伊勢谷からもらった屋上の鍵をのせた。
「安藤くんに必要な場所だって伊勢谷先生が。私も安藤くんは感情をあまり態度に出さないから、きっと抱え込んでいることもたくさんあるから、もらって欲しいと思っている。」
「本当によく見てるよね。あんたも、あの先生も。」
真尋は手を握りしめると立ち上がった。
「行こうか。」
「えっ?」
「屋上。そっちの方が桜のことも抱きしめられる。」
「ええっ!?」
抱きしめられるって!安藤くんに、きゅってされることを望んでいないのかと言われると、そんなことはないけど……心の準備が……
「冗談だよ。」
桜の慌てふためく姿を見て、真尋は満足したように笑って、席を立ったので、桜もその後を追った。
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