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自分から女の子を目で追うなんて初めてだった。
今までは告白されて付き合って、やることやってと言うのが日常だった。
好きかどうかなんて言われたら、よく分からないけど、可愛い女の子と付き合っていることが自慢だったのかもしれない。
だから、どうしてこんなに神谷菫が気になるのか最初は自分でも戸惑っていた。
偶然にも隣の教室だったので、彼女の姿を見ることは多かった。
いつも友達に笑いかけ、人が邪魔くさがる役割は引き受け、神谷桜の面倒を見るのと同じように、クラスの子の世話も焼いていた。
周りからの信頼は厚く、その信頼に応えるために、笑みを絶やさず気配りをしていた。
彼女は泣いたりしないのだろうか。しんどいとか辛いとか、誰にだったら口にするのだろうか。
凛とした美しさ。その美しが萎れたとき、傍にいてくれる人がいるのだろうか。
そんなことを考え出したら、彼女に近付きたいと思う自分がいた。
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