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委員会の時に、神谷桜より綺麗だと言ったら、彼女は顔を真っ赤にさせて、俺に噛み付いてきた。
そんな姿にますます惹かれた。
そういうところ、俺は若干子どもっぽい。気になる子は揶揄いたくなる。揶揄って自分のことを気にして欲しくなる。
すーちゃんって呼んでみたら、さらに頬を染めるものだから、俺は委員会そっちのけで彼女との会話を楽しんでいた。
そうやって、すーちゃんと関わって気付いてしまった。
彼女は恋をしていることを。伊勢谷ちゃんに。
しかもほぼ初恋。
伊勢谷ちゃんはいいやつだ。ほかの教師と比べても、群を抜いてイケメンだし。
俺らガキの話も真面目に聞いてくれる。彼にはすーちゃんが好きになる要素が詰まっていた。
だから、彼女に言ったんだ。協力してあげるって。
すーちゃんを伊勢谷ちゃんに譲る気はさらさらないけど、彼女の初恋が悲痛な思い出で終わるのだけは嫌だった。
好きになって良かったって思って欲しかったし、伊勢谷ちゃんと一緒にいて幸せなら、俺は彼女に触れることをやめようと思っていた。
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