花言葉

番外編 可愛い人

神谷桜は変な女だった。

正直、最初は苦手なタイプだなと思った。成海と猛の友達とのことだったが、男に媚びた感じとか言いたいことが言えないところとか、イライラして仕方がなかった。

挙げ句の果てに好物が苺ミルクだと。牛乳と苺を混ぜるなと言いたい。何で成海と猛がかまうのかも意味不明だった。

だから、彼女が友達から外されて泣いた時、イライラがピークに達して、思っていることをぶちまけてやった。

慰めるつもりもなかったけど、なぜだかその泣き顔を見せないで欲しいと思った。

なのに、彼女がさらに泣くものだから気付いたら彼女を抱きしめていた。

自分でも何をやっているんだかと思ったが、とにかく泣き止んで欲しかった。

肩を震わせて泣く彼女を独りにできなかった。神谷桜は、自分を押し殺すことで、自分の居場所を確保してきたことを感じてしまった。