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泣き顔まで見せて、散々偉そうに言われたのに、神谷桜は事あるごとに俺のところにやって来た。
彼女はなぜだか俺の前では、怯えることなく言いたい放題言うようになった。
カッコいいとか尊敬するとかを恥ずかしげもなく言葉にする彼女に、正直こっちが戸惑った。
他人に胸を張れる生き方をしているつもりはないし、ただ好きで音楽をやってきただけなのに。
それでも、気が付いたら神谷桜に声をかけていた。自分から女にかまうなんて初めてだった。
礼央も亜貴も翔太も彼女のことを気に入ったし、時間を重ねれば重ねるほどに、彼女がいることが当たり前になっていた。
一人で何とかしようとする姿を見ると、「何やってんだか。」と思いつつ、彼女から目が離せなかった。
一週間経っても諦めない姿を見たら、もう止められなかった。
少しでも力になりたいと思ってしまった。
体育祭も猫も。今までの自分なら他人に起こる出来事に興味などなかったのに。
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