スポーツドリンクと深夜の長電話

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それから菫は伊勢谷と少し話をした。 伊勢谷の声が耳に響くのが心地良くて、電話を切るのがもったいなくて、菫は自然と饒舌になった。 「今日ね、桜が安藤くんに家に送られて帰ってきたの。夏フェス行ったみたいで。二人は仲良かったんだって。」 「お姉さんと安藤ねぇ……まあ安藤、優しいから。」 「安藤くんなら安心かな。今の彼氏はちょっと心配なの。」 そう直輝は自分が一番のところがあるけど、あの桜を送ってきたときの真尋は、ただ純粋に桜が夜道を一人で帰ることを心配しての行動だ。 隣を並んで歩いていたけど、程よい距離感をとっていたし、桜と手を繋いだり、腰に手を回していた様子もなかった。 「委員長はお姉さん思いなんだね。」 「そうかのかな……。でも、最近は桜とのシンクロ率が悪いから。あ、双子ってね、けっこう相手のことが分かるの。生まれたときから一緒だからかな?考えてることとか、悩んでいることとか。」 「十分、シンクロしてると思うよ。お姉さんも同じような思いを感じているみたいだし。」 この時間のせいだろか。完全に伊勢谷は油断していたのだろうと菫は思った。 桜が自分との関係、双子であることの話を伊勢谷にしたということは、二人がやはりどこかで繋がりをもっていると言うことだ。 そしてそんな伊勢谷の発言は自分の心を乱す。 もちろん本人に桜との関係を問うたりはできないし、ただ何事もなかったように、胸の奥に仕舞い込むしかできない。 それが一番、吐きそうなぐらい苦しいことだとしても。
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