落ちこぼれ

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「お前はイース家にとっての最大の汚点だ。これ以上我々の評判を下げるなよ」 「どうしてあなたが生まれてきたのかしら。なぜ?なぜあなたが生まれてきたの?」 俺が5歳の誕生日に父さんと母さんから言われた言葉だ。それは’’否定’’。俺に対する完全な否定だった。今まで優しく育ててくれた二人が一変、俺を蔑み、見下し、冷徹な目で俺を見てきた。 父「本来ならここでお前には消えてもらいたいが、養子をとって当主を任すのも純血を断つことになる。もう一人子を作るにも男の子が生まれるとも限らんからな。それにお前みたいなクズでも捨てないで育てれば平民からの支持も絶大になるだろうからな。感謝しろよ、ギル。」 ギル「はい、お父様…」 父「後日、お前に規定を作るそれまで部屋で待機してろ。一歩も部屋から出るな」 ギル「わかりました…」 俺は父さんの書斎を出て部屋に戻った。部屋にはトイレ、風呂、本もあるから困ることはないだろう。けど窮屈なのにはかわりはない。それに廊下を歩いているとき、同行していた執事の様子も変わっていた。父さんたちと同じ目をしていた。恐らく外で待っているときに話が聞こえたのだろう。最悪だ、これなら明日には屋敷全体に俺が’’魔力なし’’だとし知れ渡るだろう。 それから1週間、ギルは自室を出ることはなかった。 食料は屋敷のメイドや執事が運んできてくれたが薄いスープと硬いパンの1日1食というものだった。そしてそれを運んできた人たちはギルを見た下し目で見ていた
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