再会

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 男性はまたやってしまった、そう感じているのか必死で言葉を探しているように見えた。実際はっきりとは聞き取れないが、心の声だろう、口から漏れていた。 「何て言えばいいのか、好きで付き合って欲しい。でも初対面」  その姿に一花の中にあった、警戒心は薄れ困る姿が可愛くさえ見え始めていた。  この人本当にふざけてるわけじゃないのかも。演技?とも思ったけど、そこまでする程自分に価値なんてない。お金持ちの娘でもあるまいし。なら、本当に気に入ってくれたのかな?  少し考え込んだ後、何かを思い付いたように男性は言った。 「LINE交換しませんか?番号は抵抗あるかもしれないけど、LINEならもし葉月さんが連絡取るのも嫌だと思ったら、消せばもう俺からは連絡取れないわけで。俺は自分のこと知ってもらえるし、葉月さんのことも知れるし。ダメ、ですか?」  そう言う男性に嫌とはもう言えなかった。私の気持ちも配慮してくれたんだということ、それにLINEだけならなんとなく安心だと思った。 「分かりました。LINEだけなら」  その言葉に男性はやったとガッツポーズをした。そしてすぐにそれを恥ずかしがり、誤魔化すように携帯を取り出した。  大人の男の人のこんな無邪気な顔、初めて見たかも。ガッツポーズって。
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