プロローグ

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「ごめん……別れよう。一花のことが嫌いになったわけじゃないし、一花は何も悪くないから。だからこれからも友達でいよう」  何も悪くない?なら、どうして別れるの?  いっそ、ここが嫌いだとか、 他に好きな人が出来たと言われた方がマシだった。だって嫌いになれたから。まだ好きなのに友達って何?  初めての恋に、初めての失恋。  それは心に大きく傷跡として残った。  もう傷つかないために、心の奥に恋することを閉じ込めた。開かないようにしっかり蓋をして。どれくらいの月日が経っただろう。  それでもたまに蓋が開きかける時がある。  本当の気持ちが溢れ出す時。  恋がしたい。  好きな人に好きだって言われたい。  でも、どうしても勇気が出ない。 その一歩を踏み出すことが出来たなら、きっと世界は大きく変わるのに。  それくらい恋の力がすごいことを、知っている。でも、その幸せを感じていたのも気づけばずっと前のこと。  もしかしたら待っているのかな? 蓋を開けてもいいと思える、そんな人との出逢いをーーーー。
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