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「先越されたね」
そう肉を頬張りつつ言ったのは、八つ離れた弟、隼人だった。今席に残っているのは一花と隼人の二人だけだった。
「うるさいよ。別に結婚したいとか思ってないし」
一花の言葉に弟は笑った。
「嘘つけ。友達の姉ちゃんなんて、焦って結婚相談所入ったって聞いたよ。まだ二十六だけど婚活は早い方がいいんだってさ」
婚活。今テレビでも漫画でも婚活という言葉を聞く。婚活のために、婚活疲れ……何?婚活って。
婚活、それは結婚相手を探すため積極的に活動すること。
今は就活のように自ら活動しなければ、結婚も出来ない時代らしい。でも妹は旦那さんとは仕事で出会っている。受付をしている妹に、何度も会社を訪れていた旦那さんから声をかけたのが始まりだという。
ドラマみたい。そんなことが現実にも起こるんだな。自分も受付をしているけど、そんな経験一度もない。それも仕方ないか、受付といっても耳鼻科の受付で、来るのは大半が子供かお年寄りだ。
「双葉の旦那の知り合いでも紹介してもらえば?」
「年下じゃない」
「別に年下でも良くない?女の人の方が長生きするらしいし」
だから何なんだ、一花は思った。
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