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 あるいは姉の方は何か知っているのかもしれない。それとも単純にチンピラ野郎の好みだったか知らないが、アルフィナと祖父母を置いて姉だけを連れ去ったというには、何か理由がありそうだった。待たせている間にひどい拷問をされなければいいが……。 「ところで、きみ、ひとりでここに?」 「おじいちゃんのケガがひどくて、おばあちゃんと隣町の宿に。ここまでは来られなくて……」 「あぁ。がんばったね、それは」 こんな少女がひとりぽっちでこんな町に来たのかと思うと、それはキッドのような者でも憐れみを誘われた。この細い両足では街道を踏破できない。馬車を頼んだか、馬を借りたのか、いずれにせよ大冒険だ。祖父母が幼い孫娘を送り出す心情も切なかったろう。本当なら隣町の役人が仕事をしていれば、少女はこんな恐ろしい酒場に足を運ぶ必要などなかったのだ。  いや、役人が仕事をしなくても、どうして彼女はここへ来たのか? 「隣の町では、誰も本当に助けてくれなかったの?」 ずっと同じ疑問を抱えていたらしいルルーナが訊ねた。 「役所のおじさんが、ここへ行けって言ったんです。もう誰を頼ったらいいのかわからなくて困っているときだったから、その人の言う通りにしてみようって思って」 「この酒場へ?隣町の品のいいレストランじゃなくて?」 アルフィナははっきりと頷いた。 「この町の、葬儀屋さんの前の酒場に、この人がいるからって。この人はいなくっても、きっと誰か助けてくれるって」     
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