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「そうとも!この中で水瓶座の公演がある」 「公演?サーカスみたいなこと?」 アルフィナのブラウンの瞳が年相応の好奇心にきらめいた。 「ああ。とびきりの道具の性能をショーで見せるんだ」 早く入ろうと急かすトントールに手を引かれ、アルフィナもテントの入り口に歩き出す。広場の中でも殊に混んでいて、アルフィナは危うく足を踏まれそうになったが立ち止まりはしなかった。  テントの入り口には仮面を被った派手な衣装の男が三人立って客を呼び込んでいる。 「ようこそ、ジェシーの水瓶座へ!お席をご希望のお客様は五百ヤン!立ち見は三百ヤンです!」 「本日の目玉は南国ラーメの火山竜の卵!ラーメの火山竜の卵です!」 「おい、兄さん!」 仮面のひとりに中年の客が声をかけた。 「火山竜なら"火傘のメアリー"は出るな?」 「もちろんです、ミスター!」 「"鉄馬車"はいらっしゃるの?」 「マダムのために只今靴を磨いておりますよ!」     
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