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 少女が落ち着いて椅子に腰かけたころ、トントールは今度こそ葬儀屋を頼みに外へ出た。葬儀屋はこの酒場の目の前にある。すぐに黒い装束の小柄な老人がやってきて近くにいた数人の男にあれこれと指示を出すと、さっさと死体を運んでいなくなった。この酒場の誰も、死んだ男がどこをどのように旅してきたのか、なぜ故郷を捨ててこんなところに来たのか、いくらも知らない。そうやって人が死んでいくことを思って、少女は少し悲しくなった。 「そんな顔をするもんじゃない、この街で」 店主がホットミルクを差し出した。アルフィナは店主の顔を困ったように見返した。 「でも、かわいそうです」 「自業自得だ。あれは、そういう旅をしてきた男なんだろうよ」 「死ぬために旅をしてきたみたいな言い方」 「だって、そうだと思うよ」 キッドである。 「死にたくないなら、あんな(なり)してこんなところ来たらだめなのさ。勇気と覚悟のないやつの銃なんて役に立たないよ」 「だからって必ず死ななきゃいけないことはないでしょ?」 「どうかな」     
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