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2.
彼が天使だと信じざるを得なかった。
だって、目の前で起きたことなんだもの。
しかし、だ。仮にもしも目の前にいるこのイケメンが天使だとして、なぜあたしの前に現れた? やはり、疑問はここへ到達する。
母さんとあたしが、毎日繰り返されるルーティーン化された会話をしてる中、彼は天使のような微笑みで(悔しいけど、かっこよかった)大人しくあたしのベッドの端に座っていた。一部始終を見届け、母さんが部屋をあとにした瞬間に、エイトは待ってました! と立ち上がる。
「さ、もうわかったでしょ? 僕も仕事だからね。もうそろそろ出発したいんだけども」
「信じるわ」
「え?」
「あんたが天使だって、信じる」
あたしが、そういうと
彼の表情に花が咲いた。あたしは、すぐにその花を摘み取りたくなる症状に駆られる。なぜって? あたしは花が嫌いだった。だってすぐに枯れちゃうんだもの。永遠の美しさを保てる花があるならば別だけれども。
「そ? 信じてくれる? それは、よかった!! じゃあ、行こう!」
「どこへ?」
「天国だよ」
「天国って……あんたは、……エイトは、死者の魂を天国に運ぶ仕事をしているってことであってる?」
「そ。だか
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