9人が本棚に入れています
本棚に追加
め……るの……
めざ……ので……
……
……
……目覚めるのです。
何処からか声が聞こえてくる。
眩しい光に包まれ、俺はゆっくりと瞼を開いた。
「お待たせしました、丹一さん。私は……」
ベッドから体を起こすと、30センチほどの小さな雲に乗った、キラキラと光るタコが視界に入る。
「なんだ、ダブルピヨシックスか。眠いから寝るぞ」
「ダブルピヨシックスではありません。私の名前は達燻命……神です。神聖な祭りに参加された、その功績を称えに参りました」
「神……だと? 俺には無縁の存在だ。それに……」
「怪しくないですよ? ほらっ、ご要望があれば墨だって吐きます。ほらっ、ほらっ!」
怪し過ぎるから関わりたくない。しかし、このままでは部屋が墨で染まってしまうだろう。
「分かったよ。ちょっと目を閉じてろ」
素直に目を閉じる神をビニール袋へと押込み、バイクで近くの水族館へ向かう。
そして、誰もいない早朝の水族館へと忍び込み、タコの水槽へ神を投げ入れた。
「仲間の下へ帰れ……ミッションコンプリートだ」
タダ働きは勘弁して欲しい。切に願いながら、俺はバイクを走らせる……
【完】
最初のコメントを投稿しよう!