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「なんと、お優しい! 分かりました。丹一さんには、最高の美味を授けましょう!」
タコの体が一層輝きを増す。
そして……
……
……
……イカリングが三つ、空から降って来た。
イカリングが二つ、そのままベッドと枕へダイブする。そして残りの一つは、昼食後に食べようとしていた、ショートケーキの上に降臨した。
「ウォォォォォォ! ベッドと枕に油が! ケーキにイカリングが!!!」
「ハッピーバースデー」
「ハッピーじゃねえよ!」
「イカリングケーキですよ? 見た目も可愛いし、クリスマスケーキの定番にしてみてはいかがですか? イカだけに……ププッ……」
俺はタコの額に銃を突きつけた。
「お前……足が九本もあるな? 何故だ? 三秒以内に答えろ」
「はっ、生えました!」
「そうか、助かったぞ。今週末に仲間とタコ焼きパーティーをしようと考えていたんだ。九本もあれば、わざわざタコを買う必要は無い」
「ブッ、ブラックジョーク……では無さそうですね。あっ、あなたの願いは叶えました! さよならっ」
……
……
こうして、イカリングを部屋に残して神は消えた。
「チッ、逃したか」
イカリングを口に運ぶと、やたら美味くて余計に悲しくなる。
スマホを手に取ると、多くのクリエーターからお祝いのメッセージや作品が届いていた。
癒される。
「仲間か……そういえば……」
大変なことに気付いた。
「あのタコ、他のクリエーターのところにも……」
……
……
……それはそれで面白いか。
この意味不明な出来事を心の奥へと閉じ込め、街の平和を守るべく、気持ちを切り替える。
そして神は、遥か遠くへと飛んで行った……
【HAPPY BIRTHDAY!】
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