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毎年あいつの好きな瑠璃色の紙やリボンを使って包んでいる。
といっても、単なる幼馴染がこんなに気合が入ったものをあげる訳がないので渡せない。
それでも過去一回だけ渡そうとした事はあった。
といっても面と向かって渡せるわけが無く、早めに学校へ行きあいつの下駄箱に入れておいただけだ。
俺と同じことを考える人間は多いようで毎年あいつの誕生日は下駄箱、机、ロッカーがあふれかえるくらいプレゼントが押し込まれている。
あいつは心底めんどくさそうな顔をしてプレゼントを適当な袋につめて持って帰っていた。
その日は帰り際あいつの家に寄ったのだが、なんのためらいも無く、貰ったプレゼントをそのままゴミ箱に捨てているのを見てしまったので、それ以来渡せないまま俺がずっと持っているという状態が続いている。
かなり高価そうな包みとかもあるのに中身も確認せずに捨てるんだよ。
あれは中々出来るもんじゃない。
でも、さすがに自分が上げたものをそのまま捨てるところを見るのは辛かった。
渡すことが出来ないことがわかっていても今年もプレゼントをしっかり持参して登校してしまった。
どうせ自己満足だ。
あいつと一緒に登校していると女の子が駆け寄ってきてお誕生日おめでとう。だとか告白だとかをしている。
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