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めざ……る……で……
めざ……ので……
……
……
……目覚めるのです。
何処からか声が聞こえてくる。
眩しい光に包まれ、俺はゆっくりと瞼を開いた。
「お待たせしました、五丁目さん。私は……」
目を疑った。
ベッドから体を起こすと、30センチほどの小さな雲に乗った、キラキラと光るタコが視界に入る。
「まさか……神なのか?」
「そうです。初見で気付くとは流石ですね」
「伝説の鳥を操ったり、最強の魔法を唱えたり、地上3000メートルから飛び降りても無事だったり、デラックス牛カルビ弁当を買おうとしたら5円足りなかった、あの教祖なのか!?」
「……違います」
「なんだ、違うのか」
ガッカリした俺は、タコを沸騰したお湯にぶち込んだ。
「塩茹でだな」
酒の肴を手に入れたので買い物に行く必要は無くなった。茹で上がったタコを皿に乗せると、もう一度ベッドへ潜り込む。
今日は取って置きの日本酒で楽しもう。そう思いながら、夢の世界へと戻って行った。
【完】
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