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「多大な功績と言ったな? これだけでは足りない。なにか現物をくれ。そうだな……金を……いや、待て。鐘を渡すボケいらない。空を……空を飛んでみたいぞ。伝説の鳥を出してくれ。背中に乗って、大空を飛びたいんだ!」
「伝説の鳥? 勿論、無理ですよ。ダブルピヨシックスなら出せますけどね」
「いらんわ!」
こいつは強敵だ。聞いた事がある……小説で最強のキャラはギャグキャラだと。言葉を選んで慎重に伝えなければ……
「言い間違えたよ。伝説の鳥はいらない。空を飛びたいだけなんだ。空を飛べるアイテムをくれ」
「言い間違え? ある日、妻が言いました。『ドラマで、海のモズクにしてやろうかって言ってたよ』……海の藻屑と言いたかったのでしょう。『あっ、ゴリラゲイウだ』……ゲリラ豪雨と言いたかったのでしょう。『レナ達の為に、怪しい洗濯洗剤を買ったよ』……怪しい洗剤じゃなくて、優しい洗剤って書いてありました。等々、他にも信じられない言い間違いが……」
「なんの話だよ!? 言い間違いはどうでもいいよ! そこをピックアップするなよ! もういいから、自分の為に力を使えよ!」
「自分には使えないのです。皆さんを幸せにする能力なので……」
「そうなのか? すまない。その気持ちだけで十分だ」
神という存在を過信していたのかも知れない。神にだって出来ない事はあるのだ。
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