神VS神

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「なんと、お優しい! 分かりました。せめて五丁目さんには、最高の美味を授けましょう!」  タコの体が一層輝きを増す。  そして……  ……  ……  ……イカリングが三つ、空から降って来た。  イカリングはそれぞれ、ギター、ベース、ドラムの上に降臨する。 「ウォォォォォォ!!! 俺の大切な楽器が油まみれに!?」 「ハッピーバースデー!」 「どこがハッピーなんだ!?」 「見た目も可愛いイカリング。ピックとして使っても良し、お腹が空いたら食べるも良し。ちなみに、ハイハットシンバルと間違えてイカリングを叩いても音は出ませんよ?」  俺はタコの体を両手で鷲掴みにした。 「ありがとう。酒の肴にさせて貰うよ。そんな事より……何故、足が十本あるんだ?」 「はっ、生えました!」 「生えるのか……では、俺の知り合いのコンビニで、無限タコ足製造機として、おでんの材料になって貰おう。タコ串のおでんは人気商品なんだ」 「じょっ、冗談ですよね? 私は神ですよ?」 「俺も神だ」 「あっ、あなたの願いは叶えました! さよならっ」  ……  ……  こうして、イカリングを残して神は消えた。 「チッ、消えたか……」  イカリングを口に運ぶと、やたら美味くて、やるせない気持ちになる。  充電していたスマホを手に取ると、多くのクリエーターからお祝いのメッセージや作品が届いていた。  癒される。 「仲間か……ん? もしかして……」  大変な事に気付いた。 「あの神……他のクリエーターのところにも行くつもりだな……」  ……  ……  ……それはそれで面白いか。  この意味不明な出来事を心の奥へと閉じ込め、ギターでハッピーバースデーのメロディーを奏でた。 【HAPPY BIRTHDAY!】
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