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「俺の方は別に構わない。ただ、俺の戦いに手出しだけはするなよ。これは、俺の問題なのだから。」
皇帝ともし事を構えることになろうとも、ウィリックは一人で戦うことを決めていた。
そして、それは凌馬も同じ気持ちであった。
魔族の排除は凌馬も力を貸すが、人間同士の、この国の未来を懸けた戦いは国の未来を担う者が行うべきものだから。
「決してお邪魔はしません。これは、私とシンディ様との誓いですから、どうかお願い致します。」
本当は、ウィリックとてルドレアを連れていきたくないことは凌馬も察していた。
最悪の場合は、皇帝を殺すことになる今回の作戦。親殺しの場を見られることなど、苦痛以外の何でもない。
まして、姉の親友でもあったものなど尚更だろう。
それでも、シンディの名を出されてしまえば断ることは出来なかったのだ。
もう二度と会えないものとの誓いを破ることができないのは、ウィリックが一番よくわかっていたから。
「ウィリック、貴方にこんなことをさせてしまう父と母を許して。」
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