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「ねぇ…帰ろうよ」
綾音は後悔していた。いや、後悔しない日がないと言ったほうがいい。それほどまでに彼女は友人に振り回されていた。
「はぁ?お前ここまで来て何言ってんだよ」
綾音の弱音に、幼馴染の康太がめんどくさそうに振り向きながら愚痴を溢した。
「だって…やっぱりいけないことだよ…」
康太の言葉によろけながら、弱弱しく綾音は反論した。
時刻は深夜1時頃。小学生ならとっくにベッドで寝ている時間だが、綾音達は図書室のドアの前にいた。
「お前さぁ」
康太がだるそうに答える。
「いつもいつもやる直前に怖気づくのやめろよな」
「え…」
予想外な言葉がきたことに綾音は対応できなかった。
「まぁまぁ綾音っちがビビりなのは今に始まったことじゃないしー」
カチャカチャと針金で鍵穴をいじりながら稔がフォローをいれる。
「それはそうだけどよー」
不満げに康太は続ける。
「だったら最初から断れよなーOKしてから後でやっぱりダメとか言うのまじで萎えるわ」
「こ…」
断ったじゃんと言いたい気持ちをふみとどめ、罪悪感にも似た感情を覚えた綾音は俯いた。
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