0ページ目 狐箱

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綾音の後悔生活は基本この二人の幼馴染が関わっている。 康太は近所でも有名なガキ大将で、暇な時は友達数人を従わせて遊んでいた。綾音ももれなく子分の1人として散々振り回されてきた。 ロケット花火を武器に見立てた戦争ごっこに巻き込まれたり、高い木に無理やり登らされたり、エッチな本を買わされそうになって親同士がトラブルになったこともあった。 康太は面白いと思ったことはとにかく実行する性格なのだ。それが他の誰かを巻き込むことになってもお構いなしである。 そこに稔が加わったことで更に質が悪くなった。稔は手先が器用であり、針金があれば開けられない鍵がないと豪語するほどである。少し自分に過大評価している部分もあるが、彼女が康太の右腕になったおかげで悪戯の質はあがり、質が悪くなった。 不法侵入はもちろんのこと、エアガンを改造して窓ガラスを大量に割ったり、遠足の時にクラスの水筒の中身を全部お酢に入れ替えたり、テストの時間に非常ベルを鳴らしたりと子どもの悪戯の枠を超えてしまっている。 さすがに付き合いきれなくなった友人らは康太達にあからさまに距離をとるようになった。 綾音ただ1人を除いてはーーー 深い理由などない。弱気な性格だったので断り切れなかっただけである。 康太の少し怖い顔と声 そんな康太に臆することなく飄々と話す稔 綾音はただ2人のされるがままに使われる他なかったのだ。
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