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 彫りが深く、整った目鼻立ちは、色男と端的に表していいだろう。亜麻色の髪が美しく、シャツの上からでも、鍛え抜かれた体躯が窺える。二十代男性の平均身長よりは、若干高いと自負している俺の脳天を、悠々と眺めていた。 「ま、ますみ……!?」  美丈夫の形のよい口許が、かすかに吊り上る。どうして、『よそ者』がここに。見られたのか、俺の人間離れした力を? 嘘だろ、物音一つしなかったぞ。 「ふむ」  ますみはなにかを吟味するように、顎に手を添える。  尻尾を掴まれ、引きずり出されるかのような感覚、怖気が走る。 「泥にまみれて、いっそう酷い装いになっているな。特にそのスウェットパンツが気に入らん」 「……?」 「せめてコートを脱げ。ボロ雑巾を羽織る趣味がなければな」  なんで、ファッションチェックなんかされているんだ俺は?   しかも、くそださいって言われてないか。 「あとは、顔にこびりついた陰気さをなんとかしたほうがいい。貴様は石が曇っていたら磨こうともしないのか?」 「は、はあ? 石?」  というか『貴様』って。そんなふうに呼ばれたの生まれて初めてなんだが。都会では貴様呼びがトレンドなのか?
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