Prologue

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 僕の生きている世界は、間違いなく、剣と魔法の世界である。  剣士や魔法使いが一団を作り、王様の使命により、例えばドラゴンや魔物の討伐、そして世界の破滅を目論むような存在、所謂魔王の討伐を任された者達もいる。  特に魔王を討伐した者達には、民や王はその栄誉を称え『勇者』の称号を与え、未来永劫語られるような、そんな存在となれたのだ。  僕もその、勇者に憧れて剣士になろうとしたその一人であり、王都の兵士採用試験では断トツトップという好成績を飾り、周囲からは『次世代の勇者候補』だなんて持て囃されていたこともあったくらいだった。  その時の僕は、それはもう舞い上がっていた。  ガキの頃から憧れていた、目指していた、勇者になれる可能性を秘めていると、僕自身の確信もあり、周りからもそう評価されていたのだから。  だが、『次世代の勇者候補』と呼ばれていようとも、その次世代が訪れなければ僕にそのチャンスは巡って来ない。
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