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4月6日。
春らしい暖かい風が吹くたび美しく咲く桜が舞い散る。
きっと入学式日和なんだろう。
校門をくぐってすぐの受付でもらったのは、自分のクラスだけが書いてある味気ない紙だった。
「俺3組だわ。紫月は?」
「俺も3」
「マジか。友達作りの必要無くなったな」
「いや作れよ」
同じ中学だった 呉紫月と話しながら無意識に用済みとなった薄っぺらい紙を放り投げそうになったが、いろいろ考え思いとどまる。
今日は新たな始まりを迎える喜ばしい日なのかもしれないが、俺には特に何の感情も浮かんでこなかった。
俺、 琴吹弾がこの私立涼月高校、通称スズ校を選んだのも家からチャリで通えるからというだけで、ここにやりたい何かがあったわけでも無い。
しかも今時珍しい男子校だし、『アオハル』が訪れることも無いだろう。
教室に荷物を置いて体育館に向かう間ぼんやりと、これから3年間の受動的な学校生活の幕開けを予感した。
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