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「新入生の皆さん、ご入学おめでとうございます。私としても今日という日を迎えられたことを嬉しく思っており……」
入学式ということで保護者がいるからか、校長の無駄な気合いの入れようがわかる。
あくびを堪えながら隣のパイプ椅子に座る紫月に目をやると、さっそくうとうとと首を揺らしていた。
紫月はどちらかというと物静かだし着崩したりもしないため真面目に見られるが、肝心の根が不真面目だ。
中学生の時点で気分次第で授業も受けずに学校中のどこかで昼寝をするようなやつなのだから。
その点、耳から耳へと一方通行に聞き流しているだけであっても、人の話も授業も聞く俺は真面目なのかもしれない。
「……ということで、これから共に頑張っていきましょう」
ようやく校長の話も終わったし、あとは校歌でも歌って終わりだろう。
そう思ってステージの端で司会をしている先生の言葉を待っていると、耳を疑うようなセリフが飛んできた。
「生徒、職員起立。最後に校歌を歌います。演奏は、吹奏楽部の皆さんにお願いします」
……は、吹奏楽?ここ、男子校だぞ?
どこの吹部でもほとんどが女子という認識は間違っていないはずだ。
他の新一年生や保護者も同じことを思ったのか、まわりがざわつく。
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