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つぃん
闇の中で、音が響いた。
つぃんつぃん
琴の音にも似たそれは、闇の中、規則的にいてくる。
つぃんつぃん
それと同時に。
闇の中で、薄紅色の花びらがひらひらと舞い散った。
ひらひら つぃんつぃん
ひらひら つぃんつぃん
「―またか」
つぃん……
「なかなか、『彼』もしつこいね。また来ているよ」
「……」
つぃんつぃんつぃん
先ほどよりも、音の響く感覚が、速くなる。
パシ―ン!
と、その時だった。
空気が刀のように、闇の中走り抜けた。
つぃん……
最後の一音を残し、音が消える。
ひぃらりひぃらりと散っていた花びらも、それと共に消えていった。
闇の中に、戻るは静寂。
その静かな空間に響くのは、誰かが立ち上がる音だった。
ふぅわりと、布が動きと共に微かな音を出す。
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