1 闇

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 つぃん    闇の中で、音が響いた。    つぃんつぃん    琴の音にも似たそれは、闇の中、規則的にいてくる。  つぃんつぃん  それと同時に。  闇の中で、薄紅色の花びらがひらひらと舞い散った。    ひらひら つぃんつぃん  ひらひら つぃんつぃん 「―またか」  つぃん…… 「なかなか、『彼』もしつこいね。また来ているよ」 「……」    つぃんつぃんつぃん    先ほどよりも、音の響く感覚が、速くなる。    パシ―ン!    と、その時だった。  空気が刀のように、闇の中走り抜けた。  つぃん……    最後の一音を残し、音が消える。  ひぃらりひぃらりと散っていた花びらも、それと共に消えていった。  闇の中に、戻るは静寂。  その静かな空間に響くのは、誰かが立ち上がる音だった。  ふぅわりと、布が動きと共に微かな音を出す。
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