4 修吾

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 そして、その分、彼女にそっくりの兄を、溺愛していた。  だから、離婚する時も、母は兄だけを連れて行くことを選んだのだ。  修吾自身、母や兄と別れるのはもちろん哀しかったが、それ以上に、父と二人きりで暮らせることに安心していた。  母は母であり、兄は兄であったが、あまりにも、彼らと自分は違いすぎたのだ。 『かわいいね、修吾』  再び、父はそう言った。幸福そうに、微笑みながら。  『この子も、お母さんいないの? 』  そんな父を見上げながら、修吾がそう聞くと、父は頷いた。 『そうだよ、修吾と同じだ』  そうして、修吾を抱き上げ、ベッドの上から赤ん坊を覗き込ませる。 『でも、修吾の方がお兄ちゃんだからね、桜ちゃんと圭二君の面倒みるの、手伝っておくれ』
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