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「きゃーっ王野君おはよう!」
「おはよ」
「陽、はよ!今日も朝からモテてんなーお前」
「はは、違うって」
朝、何となく今日も長い一日が始まるのかと憂鬱な空気が流れる教室。でも、そんな空気は学校一人気の王子様が教室に入ってくればすぐに打ち消された。
「ひっ……ひかる君おはよう!今日私達日直だからよろしくね」
「うん。頑張ろ」
王野君の名前を呼ぶだけでも顔を赤らめていた彼女は、爽やかスマイルでとどめをさされたようだ。倒れそうになったところを友達に支えられている。
これも、見慣れた光景。高校に入学してから飽きるほど見てきた。
窓から入ってくる春風が彼のふわりと柔らかそうな茶髪を撫でる。席に座ってからも周りを他クラスの子まで取り囲み、チャイムが鳴るとようやく解散。
私は、そんな彼を斜め後ろの席から見ているだけ。……なのは、そろそろやめようと思う。
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